「便器の中におもちゃを投げ込んで詰まらせた」、「電子レンジにおもちゃを入れて温めようとした」など自閉症児は思いも寄らない行動をおこすことがあります。
特にキッチンはガスコンロや包丁、電子レンジなど取り扱い方を誤ると、けがや火災事故などにつながる危険な器具があるため、注意が必要です。
ただし、いつ何時も目を離さずに子どもをずっとみているのには無理があります。そこで、木製建具を利用して親の負担を軽減させる工夫を紹介します。
私は自閉症児(中度)の息子を持つ親であり、工務店を営む一級建築士でもあります。
賃貸住宅暮らしを経て一戸建て住宅を設計・施工し、今はその家で暮らしています。
「自閉症児と暮らす住まいの安全対策を盛り込んだ家」としましたので実例を見ていただきながら、アイデアを参考にしていただければと思います。
この記事では、家族が安心して暮らせる木製建具のアイデアについて各部屋ごとに解説します。
キッチン進入防止格子引戸の紹介
最も危険地帯であるキッチンの対策としては、鍵付き木製格子引戸です。格子があるだけで、入ってはいけない所なんだと視覚的に認識できる効果があります。
鍵が付いているので、揚げ物など横につきまとわれては安心して調理できない時などに有効です。
天井までの建具なので、開け放してしまえば、邪魔にもなりません。
トイレ建具の紹介(引戸とドア)
トイレ内の様子を見ることができる無双窓付建具です。
賃貸住宅の時は中から鍵をかけて水遊びやトイレットペーパーを便器内に放り込んでしまったりと、遊びが過ぎて困っていました。
中の様子が分からないと親も不安なので、たまにチラッとのぞいてこちらが安心する窓です。
無双窓仕様なので閉めておけば、違和感のないデザインです。また、ドアは閉め忘れが多いので、ドアクローザー付きとしました。引手も堀込式のものとし、出っ張りをなくしました。
鍵は両面サムターン(内外共にツマミがついている鍵)とし、外からも簡単に解錠できるものとしました。
階段降り口引戸の紹介
階段降り口引戸は、一番は転落防止です。二次的なメリットとしては、夏場の2階の冷房効果が高まります。寝る前に閉めておけば、深夜トイレ使用時などに転落しないかと心配される親御さんにも安心です。
うちの子はいつも閉めています。区画されるため安心感が高まるのかもしれません・・・。
扉を開けてしまえば、引き込み戸なので建具の存在感もなくなります。
ワーロン障子戸の紹介
障子は和紙ではなく、和紙を樹脂プレートでサンドイッチしたワーロン障子となっています。
賃貸住宅に住んでいたとき、うちの子が、めくれかけた壁紙をどんどん破っていき、みすぼらしい部屋となっていました。
よって、新居では壁は塗装仕上として、紙類を破る行為を防ぐことにしました。よって建具も同様に考えました。
鍵付き格子網戸の紹介
通風を確保しつつ、転落や脱出防止対策として、鍵付き格子網戸としました。
外からの視線対策や夏の日射遮蔽対策としても有効です。網戸の鍵はほとんど閉めたままです。アルミ面格子よりも意匠性が高く、外観から木のあたたかみを感じることができます。
まとめ
ここまで、危険を回避して落ち着いた住まい環境が整うことができるよう、木製建具によるアイデアを5選紹介しました。
木製建具による工夫で、親の負担を少なくして、安心できる住まいを実現しましょう。